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「人生100年時代」に備えて


⽇本ほど少子高齢化問題への早急な対応に迫られている国はありません。⼈⼝⾼齢化に加え、⼥性1 ⼈が⽣涯に産む⼦供の数は約1.4⼈で出生率が低いことから、現在1億2,600万⼈の⼈⼝は2065年までに3 分の2以下となる試算です。政府は⼈⼝を1億⼈以 上に維持したい考えですが、出⽣率の低さを考えると実現は難しそうです。⽇本の⽣産年齢⼈⼝ は、1990年代半ばの8,700万⼈超をピークに約1,000万⼈減少しています。2065年にはさら に4,100万⼈まで減少し、経済に深刻な影響を及ぼすことが予想されます。


⻑寿化の影響は、⽣産年齢⼈⼝に対する被扶養⼈⼝の⽐率である従属⼈⼝指数にも⾒て取 れます。⽇本で賦課⽅式の国⺠皆年⾦と国⺠皆保険制度が導⼊された1961年当時、従属⼈⼝指数はわずか56%程度だったのです。2015年には64.5%だった⽇本の従属⼈⼝指数は、2037年までに80.5%、2065年には94%に達する⾒込みです。⽶国、ドイツ、および英国の従属⼈⼝指数ははるかに低く、それ ぞれ51%、52%、55%です。




従属⼈⼝指数が⾮常に⾼い中、出⽣率は減少傾向にあり、現役世代が退職後世代を⽀え続けることは今後ますます難しくなります。

人生100年時代、個⼈が預⾦だけで⼗分な資産を準備することは 難しいと⾔えます。退職後に向けた準備の⼀環として、資産を運⽤す ることが重要であるのに加え、数⼗年という⻑い投資期間にわたって複利リターンの効果を得ることが⻑期の資産形成においては⾮常に 重要です。


⽇本では先進諸国に⽐べて強く投資の⽂化が深く根付いていませんが、現⾦保有や保守的すぎる投資は賢明な選択肢と⾔えません。⽇本において⻑期投資商品に⽐べて現⾦保有が選 好されるのは、⽇本株式のパフォーマンスによる影響が⼤きいと同時に、投資に必要な知識や適切なアドバイスが得られないためでもあります。


資産形成期における資産配分は、リタイアメント時の資産価値を左右する重要な要素です。したがって、⻑期的に再現性のあるリターンを追求しながら効果的に運⽤することが重要です。資産の半分以上が預⾦商品か元本保証型の保険商品に拘ると、思い描く定年後のライフスタイルを満喫するのに⼗分な資産を準備できるのか疑問です。現⾦や元本保証型商品は⻑ 期的な物価上昇に対する抵抗⼒がありません。


定年退職後の人生が現役時代とほぼ同じ長さになることは誰もが理解し始めているなか、豊かな生活を続けるためには、個人が自主的に取り組むことの自助努力が前提となります。

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